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デジタルファイリング - データの整理整頓

気がつけばあっというまに2016年の大晦日。昨年の大晦日も大掃除をしたり、ファイルの整理をしたりと今年は整理整頓の一年でした。

断捨離をしつつ部屋の掃除も一段落しましたが、今年はデジタルデータの整理にも時間をかけています。デジタルデータで特に時間をかけたのが写真の整理です。昨年末から約1年かけて紙などアナログデータと、デジタルデータの整理を続けてきました。10万枚を超える写真データの整理とストレージ選びでもご紹介した通りNASを廃してクラウドストレージに移行しました。

この1年試行錯誤をして、整理整頓でこだわるべきだと感じたのは次の2点でした。

  • なるべく長期保存に耐えるフォーマットに統一する
  • なるべく階層を減らし、フラットな構造にする

それぞれどのようにこだわったのか紹介していきます。

長期保存に耐えるフォーマットへの統一

手元に残るうち、自分で作成した一番古いファイルのタイムスタンプを見ると1995年10月31日となっています。当時高校生でしたが、かれこれ20年以上経っています。ほとんどのファイルはまだ変換作業などすれば利用可能ですが、変換せずに閲覧できればファイルの利用価値はぐっと上がります。

あまり古いドキュメントをいまさら変換するのは面倒ですし特にモチベーションもないのですが、最近つくったドキュメント類はPDF/XまたはPDF/Aで保存し、フォントや埋め込み画像なども含めた格好で保存するようにしています。

ドキュメント類は上述のようにPDF/Aなどで保存していれば間違いないのですが、少し面倒なのが動画ファイルです。デジカメで撮った動画ファイルが手元にはたくさんありますが、デジカメの機種によってファイル形式はばらばらです。これらは一括で、H.264のようなに今どきの機器でプレビューしやすいフォーマットに変換しました。

紙からデジタルデータに

紙のデータは10年程度前から積極的にデジタルデータ化しています。クレジットカードの申込書や明細、商品を買ったときに同封されていた注意書きの紙、携帯電話やインターネットサービスの申込書や規約、購入した家電の説明書など。

同等のデジタルデータがダウンロードできる場合には、ダウンロードして保存しておき、そうでない場合にはスキャナーをつかってPDFデータにしておきます。

紙媒体ではサイズがまちまちだったり、大きさや重さの制約があり一ヶ所に保存するのは難しいですがデジタルデータにしてしまえばフォーマットを統一して参照することができます。

紙媒体では契約書など現物が必要なものもありますが、デジタルデータにしておくことで、契約年月日を知りたいとか、契約の種類が何だったかといった確認のためには重宝します。

なるべく階層を減らし、フラットな構造にする

本屋に行くと「整理整頓」「片づけ上手」といったキーワードの本がたくさん見つかります。また、最近では「ミニマル」とか「断捨離」といったキーワードのように捨てることについて注目して説明している記事も多く見られます。

デジタルファイリングもおそらくこの手法をそのまま採用できるだろうというのが最近の考えです。

片づけ指南本によると基本的な考えは「よく使うものは手前に置く」というシンプルなルールであると指南されています。デジタルデータでもこれは同様です。ただ単純にフォルダ構成を考えればいいというわけではなく、仕事の進め方も同時に変えていく必要があります。

最近のファイル

よく使うファイルというのはほとんどん場合最近つくったファイルです。

最近書いている記事のファイル、最近とった写真、進行中のプロジェクトといったファイルが最小の手数で開ける位置にあれば作業効率はバカにならないほど改善します。

ですから、Macならばファインダー、Windowsならばエクスプローラーを開いてすぐにこれらのファイルやフォルダにたどり着くことができるようにします。

こういったファイルやフォルダをデスクトップに置いている人も多いでしょう。デスクトップの使い方については少しこだわりがあるのでこちらも紹介させていただきます。

デスクトップの整理

個人的にはデスクトップは一時的な作業領域ととらえていて、一日の終わりに完全に空っぽの状態にしています。数年前受講したメール整理法の研修を受けました。この研修では「Inboxを毎日空っぽの状態にしましょう」という整理術を紹介していました。

このメール整理術ではフォルダに割り振るか、TODOリストに加えるか、スケジュール帳に書き込むか、削除/アーカイブするか行き先はこの4つだけ。この狙いは、まぜこぜになった情報一覧から必要な情報を探すのにいちいち時間がかかってしまう時間ロスを減らすことにあります。

デスクトップを空っぽにするのも同じ狙いです。たとえばプレゼンテーションスライドを作るときに大量の画像素材を準備するときは、デスクトップへ乱雑に置いていきます。ある程度情報を整理してプレゼンテーションスライドに配置が終わればスライドはプロジェクトのフォルダなどに整理しデスクトップは空っぽにします。

もし、画像を乱雑にデスクトップへ置いたまま、別のプロジェクトの作業をデスクトップ上で始めてしまうと、どのファイルがプレゼンテーション用のものだったか探すための時間ロスが生まれます。さらにデスクトップを空っぽにするにしても、どれが不要なファイルなのか簡単に区別がつかないのでまた時間ロスがうまれたり、「念のため」ということでそのまま放置してしまうことになりがちです。

最近つくったファイルの置き場所

比較的よく利用する最近つくったファイルはWebサイトデザインなどの際によくいわれる「3クリックルール」を想定して整頓するとよいでしょう。チーム作業などのために、共有フォルダの構成が決まっている場合はショートカットなどを活用します。

開くフォルダの設定

ファインダーであれば、ファインダーを開いた時に表示されるフォルダを設定できます。

すべてのファイルを一ヶ所に

ここまでは今までも似たような整理をしていたのですが、今年はNASや外付けハードディスクなどに保存していたすべてのファイルをDropboxに移行していったのでさらにファイリングを工夫しました。

これまでバックアップのために外付けハードディスクに保存したりNASに分散管理するなどしていましたが、Dropboxに移行したことで冗長性の確保ついてはすべてDropboxに依存することにしました。これによって、同じファイルを手元で複数管理する必要がなくなったので、バックアップ頻度などバックアップ漏れがないことを意識しなくてよくなりました。

整理を進めるに当たって、冗長管理をする必要がなくなったのは大きな進歩でした。すべてのファイルが一ヶ所にまとまっていますし、重複したファイルを持つ必要がなくなったので不要なファイルをどんどん削除することができました。ファイル数、フォルダ数が減ったことによってフォルダの見通しがよくなりました。検索も簡単です。

ファイル総量の制限

外付けハードディスクを利用していたときには要領あたりの単価が安いこともあって湯水のようにディスク領域を利用していました。いまはパソコンやDropboxの容量制限もありますが、主にファイル発見への時間ロスを考慮して総量制限をしています。

ファイルが多すぎると探すための時間を使ってしまいます。ご家庭でもDeep learningなどで自動的に分類されて必要なファイルが探せる時代になればいいのですが、まだそういった使い方は先になりそうですから、時間ロスを減らすにはある程度ファイル総量を制限していくほうが理にかなっていると考えています。

11月ごろにMacBook Proを買い替えて、内蔵SSDが1TBのモデルにしました。これはファイル総量はだいたい1TBぐらいだと時間ロスも防ぎつつ必要なファイルを保存していくためにちょうどいいのではないかなと考えたためです。

これまでにデジカメで撮った10万枚の写真総量ではおおよそ2TB強ありました。特にNikon D800で撮影したRAWファイルは1枚当たり50MB前後とかなりの容量でした。ただ、ほとんどの写真は連射写真で個別に再利用することがなかったので、思い切ってすべて削除し、2TB強のデータを170GB程度までに削減しました。

この制限によって、見返すことも簡単になりましたし、内蔵SSD上ですべて処理できるようになったので昔の写真を含めてすべてブラウズするといった操作もストレスなく快適になりました。

フラットに配置する

フォルダの見通しをさらによくするために、すべてのフォルダを3〜4クリック程度でたどり着けるように整理しました。フォルダ階層をなるべく減らしてソフトウエア等の制約で必要がない限り4階層までにおさえるようにしました。

iPhoneやiPadなどのスマートデバイスでもたくさんタップをするよりは縦スクロールをしていくほうが簡単です。近年のパソコンでもタッチパッドなどが使いやすくなりスクロールは非常に簡単です。ですから、ファイルがフラットに並んでいるほうが階層が深くなっているよりもより目的のファイルを簡単に探すことができます。

フォルダ階層

五十音順/アルファベット順/日付順などファイルの種類におうじて工夫します。3年前から購読している新聞はすべてPDFでダウンロードができますが、新聞であれば日付順に並んでいると一目瞭然です。あまりファイルが多すぎても探しづらいので月ぐらいでフォルダを作っています。

すべてのファイルをフラットに配置したことで、過去のファイルを参照することが日常的な作業になりました。NASや外付けハードディスクに保存していた時には、よほどの確信がなければできない作業だったのでこれは大きな変化です。

整理整頓とデジタルファイリング

デジタルファイリングを工夫したことで過去の情報を扱うことが簡単になりました。10年前の家計簿を見直したり、冷蔵庫の製氷機を掃除する方法を調べたり、飲み会の場で友人に3年前の旅行写真を見せたり、2年前の新聞を見直すなど一ヶ所にデジタルデータとして保存していなければなかなか面倒でした。

この十数年でインターネットで一般的な情報を探したり、現在進行中のニュースを知ることは安価でかんたんにできるようになりました。一方で、自分にかかわる過去の情報は自分自身で整理していないとインターネット以前と同様にかんたんには探すことができません。

今年はデジタルファイリングが一区切りついたので、来年はこれらの情報を活用する方法を研究していきます。