先月のJJUG CCC 2010 Springでは、GlassFishで即習!Java EEパフォーマンスチューニングとトラブルシューティングというセッションでお話をさせていただきました。今回、資料を準備するにあたって、話の主軸をどこにおくか最後まで迷いましたが、本業で謀殺されていたためあるいみ消去法で決めざるを得ませんでした。話そうと思っていた主軸の一つはかなりテクニカルかつ、具体的な例を挙げてGlassFishでパフォーマンスチューニングやトラブルシューティングを行う方法の紹介です。残念ながら今回はこのネタでの発表は準備が間に合いませんでした。経験上、ある問題があったときにそれを解決に導く方法や、GlassFish特有の便利な機能を見つけることは出来ると思っていますが、発表に耐えるほどわかりやすく、GlassFishの特色を出したサンプルアプリケーションの作成が間に合いませんでした。こういった話を期待されていた方には大変申し訳ないです。
もう一方の、今回お話をした話はもう少し大局的で、概念的なお話です。実際のところ、ここ数年でこういった話を聞く機会は少しずつ増えたものの、現場を見て回ればあまりそれらの知識が生かしきれていないようにも感じていました。今回の発表の趣旨はおおざっぱに言えば「便利なものをもっと使おう、そのために使える環境を準備しよう。あるいは使えるように交渉しよう」という内容でした。
前提として、よくあるトラブルシューティング/パフォーマンスチューニングの現場を説明しておきましょう。プロジェクトメンバーは多くの場合すでに多方面から時間的/政治的プレッシャーを与えられており時間的/精神的な余裕はあまりありません。新たなツールを導入するような時間もコストも許されず、対処方法は似たような事例をGoogleで検索する程度です。Googleで検索した情報がぴったりその状況を引き起こしている原因に当てはまれば良いのですが、それは一攫千金を夢見て宝くじを買いに走るのと同様、確率に身を委ねているにすぎません。Googleで検索した情報は既に現在のバージョンのプラットホームには意味の無い情報だったり、現在扱おうとしているトランザクションの性質と、検索で見つかったブログエントリーが問題としているトランザクションの性質が多くの場合違うからです。
では本質的に、問題を解決するためにはどうしたらいいでしょうか。問題を解決したり、あるいは本当に解決されたことを確認するためには問題の原因を探る必要があります。原因が分からなければ再現手順もわからず、解決したことを示してみせるにも説得力がありません。経験上、トラブルシューティングを行うときのほとんどの時間は問題の原因を探すこと、とくに問題を再現することに充てられていると言っても過言ではありません。問題の再現は、比較的簡単な場合もありますが、プロジェクトメンバーが時間的/精神的に追いつめられるほど深刻な問題の場合、問題の再現すら難しいというケースがほとんどです。
本番環境で発生している問題は、なかなかテスト環境では再現しません。データに起因する問題、ハードウエアやプラットホームの違いによる再現性の違いによって、問題の再現は困難を極めます。また、仮に似たような問題を再現できたとしても、それが本当に本番環境でおこっているトラブルやパフォーマンス劣化と同一なのか、確認することはきわめて難しいことです。こうした問題は、本番環境と切り離された環境、少ない情報で作業せざるを得ない環境特有の問題です。本番環境で直接プロファイリングをしたり、ログやダンプの設定を動的に変更したり、プローブを加えて仮説を検証することができれば問題の原因特定は飛躍的に効率的になります。
ツールを使うことを勧めると「はい、それはわかっています。しかし、xxxx」というような返答は常にあります。SOX、J-SOXなどをきっかけとした職務分掌/権限分掌の確立もより問題を複雑にします。?本番環境にデバッガやプロファイラが接続できればどんなにいいことでしょうか。そのシステムの設計や開発に携わったエンジニアであれば、いくつかの仮説を持って問題に取り組むことが出来ます。しかしながら、仮説を検証するためには情報を試行錯誤しながら集めなければならず、1ヶ月に1度しか変更の加えられないシステムに対しては仮説の検証も困難を極めます。
さて、だからといってこのまま闇雲に問題解決に取り組んだり、じれったい思いをしながら雲をつかむような思いでログをなめ回すことを続けるべきでしょうか?日本のエンジニアは勤勉で、優秀です。しかしながら、ツールが自由に使えないがために諸外国の経験の浅いエンジニアと同等の生産性しかだせないとしたらどうでしょうか。ツールが自由に使えるならば3日で問題が解決するにもかかわらず、ツールが自由に使えないがために最低2週間は問題の解決に時間を要するとしたらどうでしょうか。より安く、より速く問題を解決してくれる海外に頼りたくなるのが自然な思考です。多くの場合、スポンサーが有用性を理解していないがために非科学的に禁止されたツールの利用禁止は、そろそろ日本のエンジニアが主体となって、利用を認めるよう主張を始めるべきだと思っています。とてもおとなしい、主張しないエンジニアの言い分はいままでも、これからも認められていかないでしょう。経営や運営の立場をもつ人々の視点からみれば、そもそもなぜ問題の解決に時間がかかるのか理由もわからないまま、(多くの場合精神的なセキュリティーを根拠として)ツールなんて無くてもよいと思われているにすぎず、エンジニア側の主張がそもそも足りないのだと思っています。
もの言うエンジニアを増やそうという、主張ではありませんが、科学的に有益なものはもっと主張して、自由に使えるような環境を獲得する。これが、この先10年〜20年先に日本のエンジニアが職を失わず、また国際競争力をもちつづけられるための必須条件ではないかと考えています。以上が、発表でのおおまかな主張でした。小手先のテクニックと比べれば、こうしたもっと土台となる問題が、少なくとも前職Sunにおいて見えてきた、エンジニアにとって一番の問題解決の障壁になっていることだと思っています。












































